★ JB Bagger KIT を値下げしました! ★ とFRPの強度について

商品案内, 雑記

JB Bagger Kit


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さて、話しは変わりますが、いつかBLOGに書こうと思っていた FRPの強度について です。

皆さんはFRPについてどのくらい理解がありますでしょうか?
FRPはもの凄く奥が深い為、簡単には説明出来ませんがなるべく解り易く書いてみたいと思います。

【 1・FRPとは 】

FRPは簡単に言えば、超~単純で超~難しい。です。
どうゆう事かと言えば、知識や経験だけでは、単純に言えないのが FRP(熱硬化性樹脂製品)です。

「熱硬化性樹脂は、加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる
樹脂のこと。 使用に際しては、流動性を有するレベルの比較的低分子の樹脂を所定の形状に整形し、
その後加熱等により反応させて硬化させる。」

上記の様な事は誰でも理解できますし、上記の様に説明すると、読むのがダルってなりますよね。
単純に言うと、「樹脂が熱で硬化する」です。

そもそもFRPで重要なのは、マトリックス樹脂(ポリマー)であって、繊維では無い。と言う事です。
繊維は強化材と言われていて、母材(マトリックス樹脂)の強化材が繊維だと言うのが本当の所です。
世間一般では、ガラスファイバーやカーボンファイバーやコアマットなど、繊維(強化材)の方が意識で
先行しますが、要点は樹脂を理解する事が、FRPを熟知する事になる訳ですね。

【 2・FRPの強度 】

皆さんは、FRPの強度って言われると、何を示して強度と考えていますでしょうか。
「タンデムしても強度的には問題ありませんか」とか
「御社のFRP製品には、コア補強材や、補強の鉄板は入っていますか」などたまに聞かれます。

FRPの強度はもの凄く複雑で、一般的に強度計算の理解が難しいのが現状です。
大学や研究者達が複合則の応力計算で算出してますが、FRPは作り手の技術や、使用材料に
最も左右され易く、一概には計算出来ないのが現状です。

ただ、皆さんが弊社に良く質問される
「タンデムしても強度的には問題ありませんか」とか
「御社のFRP製品には、コア補強材や、補強の鉄板は入っていますか」
この2つに限って簡単に説明すると、以下の様な感じです。

FRPの強度とは、負荷応力とひずみ(複合則)です。
FRPの検査に行くと、まれに「高剛性だか低強度」だったり「低剛性だが高強度」と結果が出てきます。
要するに、「粘り強いが強度は弱い」と「強度は強いが粘りは弱い」の違いです。

剛性 = 圧縮・ずれ・ねじれなどの外力に対する、物体の変形力。
強度 = 元の形状や寸法を保とうとする抵抗力。通常は応力の値をもって比較する

要は、強度とは応力なんですね。
強度は形状や寸法が保てなくなった「破壊」が限界値だとすると、検査上の破壊値が強度となるのか。
FRPはそうではないのです。

均質単材料では強度は単純明快ですが、FRPは複合製品(樹脂)+(繊維)なので、
強度(破壊値)だけでは無いのです。

【 3・FRPの損傷と破壊 】

そもそも、FRPの損傷と破壊には3つあります。
1・「繊維破断」 これはファイバーなどが切れて割れる事です。
2・「母材破壊」 これは硬化した樹脂に亀裂が入る事です。
3・「界面破壊」 これは硬化した樹脂とファイバーなどの密着が剥がれる(ズレる)状態の事です。

この様に、FRPは複合製品なので、製品形状破壊の前に、単体材料の破壊(破断)があるのです。
この3つが連鎖破壊を起こして行き、最後が強度(応力)の言う破壊です。

この3つの強度を適格に考慮し、最も高剛性で高強度の特徴をもった製品が、
私は優秀なFRP製品と理解しています。

【 4・FRPの見解 】

今までにFRPに対して色々な実証をしてきました。
まずは、皆さんが言う、コア材(芯材)補強ですね。「この製品は補強の芯材、又は鉄板補強は入っているの?」

答えは、単純にガラスファイバー以外の物を入れれば、補強材になる訳では無いのです。
逆に考えれば、ファイバー以外の芯材を入れた場合は、その芯材の応力の違いから、
界面破壊が起きやすくなります。
まして鉄を入れるのであれば、ファイバーとスチールの剛性の違いから、何も入れない時より早く
界面破壊が進みます。
鉄の場合は、まず「界面破壊」が起きてズレる事により「母材破壊」が起き、それがトリガーとなり
「繊維破壊」が起きて「製品破壊」です。

何よりも怖いのは、この3段階破壊は、内部破壊なので外部からは目視出来ません。
鉄を普通に入れただけでは、内部で欠損してる可能性があるとだけ思っておかなければいけません。

【 5・鉄板補強 】

では、鉄板補強やボルトなどをどうやって入れたらいいのか。 それは3つの破壊を理解すると解決出来ます。
要は「界面破壊」を起こさせないです。
ですから、鉄材を入れる場合は密着性(相性)の良いマトリックスを使う必要があります。

日本のハンドレイアップFRP製品に使われているマトリックスのほとんどは、ポリエステル樹脂です。
でも、ポリエステル樹脂とスチールは、密着性(相性)が悪いのです。
スチールを入れる場合は、エポキシ樹脂を使用すれば、密着性が高く問題ありません。
ただエポキシ樹脂はとても高価な為、殆どはそのままポリエステル樹脂で練り込んでいると思われます。

ただ、そこまで「界面破壊」のリスクを負ってスチール補強を入れるメリットは良し悪しだと思います。
もちろん鉄4mm厚とかの鉄板をFRPに練り込めば、タワミ強度や捻じれ強度は抜群に良くなりますが
密着面の界面剛性の界面破壊リスクがあると言う事です。
それこそ1mm厚以下の鉄を練り込むのであれば、その鉄板単体で撓み捻じれますので
リスクばかりが高くなり、補強とは程遠くなります。

【 6・コア材補強 】

次にコアマットですね。
1度に3mmや5mmの厚みが取れるので、制作側には重宝されますが、強度はどうでしょう。
コアマットは鉄と違い、ポリエステル樹脂との密着性(相性)は良いので「界面破壊」は起きにくい。
また、手で引っ張ても切れませんので「繊維破断」も起きにくい。
「母材破壊」に関しては、ガラスマットと同様に含侵してますので、リスクはガラスマットと同等です。

上記を鑑みればコアマットは良い芯材になるのか。 でも経験上では何か負に落ちない。
コアマットを含侵してある所に穴を開けようとすると、スッカスカでドリルがすぐに貫通する。
また含侵したマットをサンディング研磨すると抵抗力があまりない。
一番の欠点はマットの中の空気を完全に排除するには、ハンドレイアップでは難しい事ですね。
これは塗装の時に、遠赤でFRP製品を温めた場合に、母材に残った空気が気泡膨れ(膨張)して
塗装が弾けます。 コアマットが入っているFRP製品を塗装した事がある塗装業者さんは
最悪な思いをした事があると思います。

弊社も5年前はFRP制作を外注に依頼していた時期があり、中に空気が混入しお客様にご迷惑を
お掛けした経験があります。 内部に空気が噛んでいても外からは解らないので、
外注依頼を中止し自社生産に変更してからは全てを改善しました。
自社で制作するにあたり、講習などへ行き色々研究や実証をし、真面目にFRPと向き合ってきました。

そして今年も大阪の強度検査場に行って来ましたが、ガラス繊維のみの場合とコアマット入りと、
強度はほぼかわりませんでした。
(ほぼ変わらない)とは、検査に使用する規格や形状が決められており、
10本のサンプルを同じ検査で調べるのですが、その10本でも破壊箇所や破壊数値にバラツキがあり、
平均値を算定し大幅な数値差はありませんでした。
これがカーボン繊維になると、樹脂はもちろんエポキシ樹脂ですが、強度は格段に強かったですね。

結局コアマットはコア(芯材)と言っても、補強材では無いのが実情です。
制作する側にとっては、3mmとか5mmなどの厚みが一気に確保出来ますので、
作業手間が良いしコストダウンになります。
ただ使用する側(購入者)からすれば、強度的に変わらないのであれば、
塗装リスクにおいてコアマットが入っていない方が良いとなります。

【 7・FRP弊社仕様 】

良くある質問を簡単にご説明するとこんな感じですが、これでも大幅に端折っております。
弊社のGFRP製品は、上記の事からFRPチョップマットとロービングクロスマットを使用して、
1プライづつ時間をかけてプライを重ね、ほとんどの製品は5プライ(平均5mm)の厚みを確保し、
サドルバッグは6~7プライ(平均6mm)の厚みで、強固な製品となっております。

チョップドストランドマットとロービングクロスマットをなぜ使い分けるのかなども色々理由がありますが
単純には繊維方向の強度(応力)が変わるのです。
FRPの詳細内容はまだまだ沢山ありますが、1冊の本なみにここでは書ききれませんので、
本当に奥が深いです。

当社の製品に、コアマットも鉄板も入れる事は可能ですが、
色々なリスクを軽減する為に単一素材での制作をしております。
簡単に言えばFRPにおいて強度=厚みも最重要であり、他社製品と厚みを比べてみて下さい。
必ずご満足頂ける強度とスペックになっておりますので、ご安心してご購入、ご使用下さいませ。

【 8・FRPの展望 】

最後に、FRPと言う製品(製法)は古い様で、本当はまだまだ新しい分野です。
レースマシンや航空機やロケットなどで使用されるほど、母材(樹脂)と強化材(繊維)の組み合わせで
高性能な機能を持たせる事も可能で、逆にハイスペックな分野ほど、FRPが主流になっております。

今までは「鉄」や「ハイテン」など、モノコックボディーの【 量産 】の為に使用されてきました。
【 少量生産 】でハイスペック(高強度で軽量化)であれば昔も今も「アルミ」や「CFRP」がごく当たり前です。

一般的に、CFRPはスチールなどに比べて高強度・軽量という特長がある一方で精製・加工が困難である為
高価であるとされる。 こうした事情から自動車におけるCFRPの利用は、レーシングカーのような市販を
前提としない車両、もしくは、ランボルギーニ『アヴェンタドール』やマクラーレン『MP4-12C』の様な
非常に高価な車両に限定されていた。

しかし今や量産車のBMWやアウディーまで、ボディシェルにCFRPを使用し始めました。
※スズキのスプラッシュは、サスペンションのバネまでCFRPになってます。(鉄製より16%重量減らしい)

FRPは古い技術では無く、最先端の可能性を秘めた次世代技術になっています。
今後は、鉄鋼産業界もこの熱硬化性樹脂業界と複合して、更なる発展/進化をして行く事でしょう。

もっとFRPに興味のある方は、近畿大学 理工学部 機械工学科 教授 「西藪 和明」教授の講演などを
お聞きになれば、熱い語りで話にガッツリ引き込まれる魅力のある教授で、
FRPの現状や今後の発展期待分野である事が良く解ると思います。

※まめ知識
カーボンの炭素繊維は大阪の「近藤昭男」さんが発明しました。
ノーベル化学賞を受賞しても良いと思います。
近藤昭男さんは、PAN系炭素繊維の発明者で、
PAN繊維を空気中で熱処理して耐熱性を高める工程を発明した。
(ニトリル基の重合及び脂肪族炭素の酸化)
【 特許 : アクリルニトリル合成高分子物より炭素製品を製造する方法 】
カーボンは大阪生まれだったんですね! 大阪生まれの技術が世界へ って凄いですねw

貴重な時間を割き、長文をお読み下さいまして有難う御座いました。

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